東京高等裁判所 昭和48年(ネ)232号 判決
控訴人は、右仮差押登記後三年を経過した時点で被控訴人の右手形債権が時効によって消滅したと主張するのであるが、なるほど、仮差押が金銭債権保全のための仮定的、暫定的な執行処分であることは控訴人のいうとおりであるけれども、他方、それは権利の現実的な実行行為であって、その点では差押と異なるところはないのであり、それがゆえに、民法は、仮差押、仮処分を、差押と同列に独立の中断事由として掲げ(同法一四七条)、更に、他の中断事由である催告を補強する強力な中断方法として規定したものと考えられる。そして、不動産の仮差押手続は、登記簿への記入登記によって執行が行なわれ、その決定の取り消しがない限り、右仮差押の登記の存在によってその執行は続いているのであるから、その間仮差押手続は依然として継続し、消滅時効の中断事由は終了しないものと解するのが相当であり、この理は差押の場合と同様であって、(したがって、その行為が即時に終了する債務の承認と明らかに区別されるのである)。右と異なり、仮差押の場合に限って、その記入登記をすることによって直ちに仮差押手続が終了するとし、その時点から新たに消滅時効の期間が進行するものと解すべき合理的理由は見当らない。したがって、控訴人の右主張は採用することができない。
(中西 小木曾 深田)